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「黒い羊」

 薄曇りの昼さがり、レストランを出ると、黒い羊が直立で歩いているのを見た。折り目正しく黒いジャケットを着て、黒いカバンをさげ、とことことやって来る。近くで見ると確かに生の羊だったので、私は思わず後をつけた。
 羊は人で賑わうオープンカフェに立ち寄ると、コーヒーを注文し、カバンから真っ黒い紙を取りだして読みはじめた。新聞紙のような大きさだ。遠目では何が書いてあるかさっぱり分からない。そのうちスッと前足を上げて、誰かに合図した。ラフな格好をした直立歩行の黒ひょうが現れ、仲睦まじく談笑した後、ひょうに会計を払わせていた。
 続いて羊は自転車店に入り、黒い自転車を買い、それに乗って軽快に走り出した。私はそこで追うのを諦めたのだが、翌朝、郵便受けには真っ黒い新聞が届いていた。手にして見てもやはりただの黒い紙だ。これが新聞だと思ったのは新聞の折り方であるからに過ぎない。早起きなレストランの店主によると、黒い羊が黒い自転車でこれを配達していたらしい。
 それから一週間後、テレビの画面が何をしても真っ黒になった。町の事情通であるレストランの店主によると、黒い羊が黒いハシゴで電波塔に登っていったということだ。

(了)

 

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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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