群青の午後の霧が吹き散らされると、機織り師の一団に出くわした。彼らの牽く巨大な睡蓮の葉には山盛りの花びらが積まれている。平たい葉のすきまから花びらはこぼれ落ち、道筋となって霧の奥まで伸び、後に続いてきたらしい花咲とかげの行列がうっすら見えた。腹と足がキシキシ擦れる気配が迫り、地面を舐める黄色い舌が、彼女と僕を立ちすくませる。僕らは迷子だった。機織りに道を聞くと、キツツキの配達夫みたいに高く鳴き、背中の織り機を下ろし、いそいそと地中の糸を編みはじめた。足元の草むらから細い糸が引き出され、一匹の花咲とかげが不器用に舞い、うなりを上げて瓦礫みたいに崩れ落ちる。とかげの破片は飴色のビーズとなり、機織りたちが編むごとに神秘的な光沢をおびた紋紗が拡がってゆく。機織りの手招きで彼女は導かれ、厚いケープを脱ぎ捨てて、少女のような未熟な肌をさらし、とかげの脈動で彩られた可憐な布に巻きとられた。そして彼女が裸足で睡蓮の葉をまたげば、僕の舌が呼応するように伸びていく。冷たい指でつんと摘まれると全身を悦びが駆け昇った。僕は四つん這いになり、背に大ぶりなつぼみをまとい、蓮から漏れる蜜を舌先でそっと受けとめた。
(了)

(了)

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