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人類のその時 (作:高柴三聞) <希望の超短編>

「ついに、来るべき日が来た。」
 博士は、恍惚の表情を浮かべながら一人ごちた。僕はため息が出た。僕は博士の助手である。博士の助手である前に平凡な電気工である。博士は、小柄な体に体に不釣り合いな大きめの白衣を纏っている。おまけに、はげ頭の横の周りに白髪をはやしている。漫画の人みたいだ。
「努力は、欲望の追求の過程である。欲望が満たされたとき、それは努力の報酬を得たことである。」
 何だか哲学者みたいな台詞を大仰にのたまわれた。僕はこの人が何の博士なのか、未だにわからない。この不況で電気工で食っていけなくなったので僕は博士の助手の仕事にありついたのだから、恩人なのだけれど。
 博士の指示で組み立てた何だか良くわからない、業務用冷蔵庫に謎のレバーが何本も突き刺さった代物の前で博士はこの上なく幸せそうな表情を浮かべた。
「これで、合法的にも道徳的にも問題なく好きなだけオッパイがもめる。オッパイを求める人々に幸せをもたらすのだ。この掌にオッパイを!!ジークオッパイ!!」
 博士は、オッパイ製造マシーンを設計して組み立てさせたのだ。きっと肌色でドラクエのスライムみたいな形してて頭のとこがピンクになってる、柔らかい「何か」がたくさん作られるんだろう。楽しいのかな。博士に言わせるとオッパイは男のロマンなんだそうだ。博士は晴れ晴れした顔で怪しいレバーの一本をガチョンと音を立てて引いた。
 四角い銀色の箱がブーンと音をたてて揺れだした。突然、箱の扉が勢いよく開いた。
 もぉごごおおおおおおおおお!!!
 もごおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
 激しい野獣の咆哮が実験室全体を揺るがし、次の瞬間、僕の目が確かなら巨大なマンモスが箱の中から地響き上げて飛び出してきた。あっちこっちに棒みたいなモノが刺さってる。なんだか、興奮して暴れまわってる。本能が逃げろと言っている。博士と二人暴れるマンモスから必死に逃げ回った。そうだいつもこの人のとこで働いてからろくな事がないんだ。何処をどうやったんだか、ひとしきり暴れまわったマンモスは銀色の箱の中へ再び戻ってしまった。へたり込んだところに、粗末な木の棒が落ちていた。先端には石のとがったものが取り付けられている。そうか博士は、タイムマシーンを作り上げてしまったんだ。
 ふと博士を目で探すと博士は鉄パイプで今まさに完成したタイムマシーンに襲いかかるところだった。
「オッパイじゃないんだ、オッパイじゃないんだ」
 博士は、泣きながらだっだッ子のように鉄パイプをやみくもに振り回した。
 僕は、こうして人類が時空を超えると言う偉業を目の当たりにしたのだった。

(おわり)


著作権は作者にあります。
管理人コメント:笑い成分が追加投入されました。

疲れた心に安らぎと谷間を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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