スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

アヤシイ空間 (作:道三) <希望の超短編>

 ボク史上、もっともアヤシイ空間をみつけた。
 なにがアヤシイって、『ちびっこゾーン』と大きな字で書いた紙が張ってあるのだけれど、そこはただの空き地で、青いビニールのシートがポツンとしいてあるだけだったのだ。
 雑草がいっぱい生えたふつうの広場に、風でとんでいかないように石で押さえた青いシート。でも、それだけじゃない。それだけでもじゅうぶんアヤシイんだけど、青いシートの上に大人のひとぐらい大きなナマハゲ人形が置いてあったんだ。
 これはおおいにアヤシイかった。
 あきらかに着ぐるみじゃあない。どこにもファスナーがなくて、中に人が入れないようになっている。
 目をつぶり、疲れはてたように手足をなげだしたナマハゲ。風がピューピュー吹きすさぶ。広場にはボク以外だれもいない。青いシートがパタパタ鳴っている。『ちびっこゾーン』とかかれた紙をよくみると、“たのしいよ”と書いてあった。
 どうかんがえてもアヤシイ空間だった。あんまりアヤシイので、ボクはクツを脱いで青いシートに上がってみた。センセイに「気になったことはちゃんとたしかめるように」って言われたばかりだし。
 そして座ってみた。思ったとおりだ、あまりたのしくない――っていうか、ぜんぜんたのしくない。
 しばらく座ったまま待ってみた――なにもおこらない。青いシートは冷たくて、すごく座りごこちがわるい。
 ボクはお母さんにたのまれて、一人でお買い物をしたかえりだった。センセイに「自分でいろいろためしてみましょう」って言われたばかりだったから、持っていたお菓子をナマハゲにあげてみることにした。
 ためしに、口もとにお菓子を持っていく。するとどうだろう。ナマハゲはお菓子を一口食べ、いきなりパッチリと目をあけた。その目はすごくうれしそうで、やさしかった。
 ボクたちは一緒にお菓子を食べた。ナマハゲは少しずつ元気になり、ゆっくりとだけど、青いシートをしっかりふみしめて立ち上がった。
 それからボクたちはたくさん遊んだ。走ったり、うまとびをしたり、かくれんぼをしたり。時間がたつのをわすれて、いっぱい遊んだ。
 なるほど。二人で遊ぶのは、たしかにたのしいことだった。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
スポンサーサイト

テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリー
ブログ内検索・作者検索
プロフィール

sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

後輩書記シリーズ公式サイト

ビジター数
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。