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罪に裁きを、人に赦しを [A PARDON](作:卯月音由杞)<超短編>

 先生、パンドラの箱って知ってますよね。
 開けてはいけない箱をパンドラって名前の女が開けて、中に詰まった不幸や災厄が世界にあふれたって、あれ。
 俺ずっと疑問だったんです。パンドラは何でそんなことしたんだろって。
 B組のハセガワいるでしょ、あのメガネ。いや俺もメガネだけどそれはいいでしょ。
 俺たちこないだ中庭の自販機に行こうとしたら、あいついきなりしゃがみ込んで池に腕つっこんだんですよ。あの藻が生えて緑色の、きったないし臭うの。こいつ、頭おかしくなったかと思ったんですよ。
 そしたら水草でどろどろの手に五百円玉持ってて、拾った、って。
 俺びっくりして、メガネのくせに目がいいなって。いや俺もメガネなのはいいですってば。じゃあえっと鼻毛。鼻毛でいいですよハセガワなんてもう。
 鼻毛のやつ、ハセガワのことですよ。見えたんじゃない予感がしたって。それで手を突っ込んだって言うんです。鼻毛のくせに。
 だから先生、俺は思うんですよ。パンドラもそんな予感がしたんじゃ、って。
 このお話の最後ってほら、箱の中には希望も入ってた。どれだけ世界がひどくなっても希望を、望みを閉じ込めてちゃいけないって、彼女はそんな予感がしたんです、きっと。
 先生も先週、酔っぱらってシオド先生たちに絡んでたでしょ。女をなめんじゃねーぞって。いや俺がそんな夜中に駅前にいたとかそれは置いといて。あんま興奮しないでよ。
 まずいことになりそうでも、手を伸ばすのを止められないって、そういう時があるんです。
 先生だってシオド先生には結局嫌われたけど、またいい男見つかりますって。何で知ってるってC組で知らない奴いないですよ。いやまた別の話ですって。落ち着いて。
 俺が言いたいのは、やむにやまれぬ行動だったってこと。それでも望みは残ってたんだ、ってこと。
 でしょ、先生。
 いやいや、女子更衣室をのぞいた言い訳、って人聞き悪いな。だって実際には誰も着替えてなかったし、あの子は倒れてたし。
 それよりあの子、大丈夫だったの先生。ストーブ着けっぱなしで空気悪かったんでしょ。大丈夫か。よかった。
 名前なんだっけ。なんとか、ノゾミ?
 ほらやっぱり、最後にはノゾミが残ってたんだよパンチラの箱にも。

 俺、いまパンドラって言ったよ。言ったって。何も見てないって。
 人命救助したから不問に処すって言ったじゃん。怒らないで先生、婚期逃すよ。いやそういう意味じゃなく、先生さっきから鼻毛が出てて……。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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