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君の声がしたんだ。(作:minayann)<希望の超短編>

君の声がしたんだ。

なにしてるの?って聞くから向こうを指差して見せた。
「ああ」

駅前の街頭で。テレビの前で。インターネット上で。
みんなが出来ることを探している。何も出来ないという声、募金しますと言う声、大変なんだ~という声までどこにいても耳に目に入る。
「お願いします」
「はい」
小銭しかなくて申し訳なくて、だけどこちらこそありがとうと言って箱に入れた
「これも」
隣からにゅっと伸びた見慣れた手。
あわてて、ありがとうございます!! と募金箱を持つ女の子が頭を下げた。

「俺だけしないなんて格好わるいじゃん」
ぶすくれて、照れてそっぽ向いたD。

知らなかったよ、と言う
そうだよね、と相槌うつと、腹が立つとひとりいらいらしだした。
「なんで怒っているの」
「あんたの家族、いるの知らなかったから、あとは自分に」
「知らなくて当然だよ、言わなかった私が―」
言いかけた言葉をさえぎってDは言う。

「あんたの大事な人、じゃん。知って痛かった。できることのない自分が悔しくて悔しくて」
「ありがとう」
「大丈夫、大丈夫だから」
「うん、うん、ありがとう」

そういった3年前。
「おかあさ~ん」
「はいはい、お帰り」
母の声の後をおかえり~と舌足らずな声が追いかける。

リビングでは振り返らず、新聞を広げた父が言う。
「おかえり」
「うん、ただいま」

ひどい地震があったけれど命からがら逃げて、父母は助かった。今は一緒に暮らしている。
そして、また。
━━ただいまマグニチュード8.8、いえ9.0の地震が起きました。
――津波警報が発表されました
━━00町、00町に甚大な被害が。

今度は私たちが手を差し出す番だね。
そう思って、携帯をみたら。
「募金活動、しよっか」
という遠くにいるDからのメール。

開けると――君の声がした、気がした。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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