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街角の良い魔女 (作:三里アキラ) ♪希望のポケット童話

「あたしの犬をしりませんか?」
 女の子が行き交う人に問いかけます。人々は気ぜわしく、女の子の問いに耳を貸しません。日は傾き、空気も冷たくなってきました。
 女の子は白いスニーカーを履いています。白いパーカーを着ています。紺のキュロットスカートを履いています。髪はおかっぱです。
 一人のお姉さんが足を止めました。
「あたしの犬をしりませんか?」
「お嬢ちゃんの犬? さあ、知らないけれど、私はもっとかわいい犬を見つけたわ」
 お姉さんが女の子の髪にさわると、女の子は小さな白い犬になってしまいました。
「きゅん!」
 女の子だった白い犬は、犬の言葉で「あたしの犬はどこですか!」と叫びました。
 お姉さんはにっこり笑いながら言います。
「お嬢ちゃん、自分でできることは自分でしなくっちゃね。あなたには立派な鼻があるでしょう?」
 女の子だった白い犬は鼻をぴくぴくと動かし、何かに気付いて駆けて行きました。行き交う人々はこの出来事にまったく気付きません。白い犬の後姿にお姉さんは呼びかけました。
「出会えたらいいわね」 女の子だった白い犬は夕暮れの街を駆け抜け、女の子の犬を見つけました。匂いで白い犬が女の子だとわかった犬は、白い犬にじゃれつき、鼻先をぺろりと舐めました。白い犬はたちまち元の女の子の姿を取り戻し、女の子の犬を抱きしめました。
「帰ろうか」
 女の子が言うと、犬は元気にほえて応えました。来た道を女の子と犬は走って帰ります。途中であのお姉さんを追いこしましたが、女の子は気付きませんでした。女の子の犬がちらりとお姉さんを見て小さくほえ、それがお姉さんには「ありがとう」と聞こえたのでした。

(おわり)


著作権は作者にあります。

未来に夢と希望を、そして灯火を。ポケットの中の童話。
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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