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インプリンティング (作:タカスギシンタロ) <希望の超短編>

 男は無人島に流れ着いた。幸いなことに島には果物が多く、魚も豊富で食べるには困らない。この島でなんと
か生き延びることが出来そうだった。
 あるとき、男が島を探検していると、高台の草地に大きな卵を見つけた。すぐに食べようとした男だが「いや
待て、やっぱり親鳥を捕まえよう」と思い直した。ようするに鶏肉が食べたかったのだ。ところがいっこうに親鳥が現われる気配はない。この際、ヒナを孵して食べるのも手かも知れない。男は卵を温めることにした。
 何日も何日も男は卵を温め続けた。やがてコツコツと卵の内側から音が聞こえてきた。いよいよヒナが孵るときが来たのだ。男が卵のひび割れをのぞき込んだそのとき、海に何かが現われた。
 ふしぎな船だった。キラキラと輝く光の帆船が、海を滑ってくるのだ。男は立ち上がり、海岸に走った。とうとう助かるのだ。男は両手を振り回し、叫びながら走った。「ここだ、ここにいる!」
 ところが。
 なぜか男は急にぴたりと足を止めた。そして、ゆっくりと卵の方を振り返ったのだった。

ワタシハシッテイル。
コレハワタシノオカーサンダ。
オカーサンハタベモノヲクレル。
オカーサンハマモッテクレル。
ワタシハオカーサンニツイテイク。
オカーサン! オカーサン! オカーサン!

(おわり)


著作権は作者にあります。
作者コメント:きょう楳図かずおの『14歳』を読んだら昼ご飯はフライドチキンでした。超短編を書いたらこんなでした。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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