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富士山 (作:sleepdog) <希望の超短編>

「富士山」


 百人でおにぎりをつくっていると、日本一高いところから彼女がまた声をかけてきた。退屈だからそろそろ噴火しようかとぼやくのだ。
「これから百人でピクニックというのにそれは困る」
 と返すと、彼女はますます不機嫌になり、熱いものをぺっと吐いてよこした。大きなビルがみるみる溶けた。まわりは動揺し、あれをなだめるのは幹事のつとめだ、とぼくを責め立てる。その間にも白米はどんどん炊きあがる。めしを握る手にも力がはいり、やがてあたり一帯は、ほかほかのおにぎりで埋めつくされた。
 彼女はものうげな流し目で問いかける。
「いま噴火したら焼きおにぎりになるかしら?」
「そうだね、一瞬ね」
「――ダイアモンドにならないかしら?」
「それはきみの加減次第だよ。だけど、チャンスは一度きりだ」
「そっか、不器用なのに」
 ややあって、彼女は噴火を断念し、また千年の美しい歌をうたった。それを聞きながら着々とピクニックの準備をする。千年後の幹事よ、もうおにぎりは使えないぞ、心したまえ。

(了)
『500文字の心臓』第58回タイトル競作「富士山」投稿作品。
結果:○4、△4、×1となかなか健闘。王様と一票差だった。
本作は固有のイメージが非常に強いお題だったので、徹頭徹尾ナンセンスに走り、山の女性らしさ(ダヴィンチ・コード的には山は男性の象徴だが)をアピールしてみました。ちなみに、どうやってもおにぎりはダイアモンドにはなりませんので、あしからず(笑)。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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