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HOPEあるいは、反逆の作法 (作:高柴三聞) <希望の超短編>

乾いた空の向こうをじっと見つめる。
 無力だった。両の掌には何もない。ひび割れた手だけが、だらりと肩からぶら下がっている。大地よ、その熱を失う事がないよう願う。なぜなら、その大地に眠る人々をもう、寒い思いをさせないで欲しいからだ。寒くて凍えながら逝った者たちにもうこれ以上の仕打ちはやめてほしい。
 俺は知っている。いや、知っていた。命に上下は無く、死はすべてに平等だ。しかし、掌からすり抜けて、狂暴な波の牙の中に呑まれた人々は…。自然の仕打ちは、あまりに無作為で理不尽で悔しい。
 二人の娘を失ったという父親のインタビューが頭から離れない。土砂の中から手をつないで息絶えた姿で見つかったと言う。二人手をつないで埋まっていたと言う。
 姉の顔は、無残な姿だったと言う。父親は失った姉の足を探していると言う。
 こんな残酷な事は無い。それが悪魔の仕業ならとことん悪魔を憎み、それが神の意思ならばとことん、その意志に逆らう。
 亡くなった人たちに生きている人が出来ること。それは、忘れないこと。今、生き残った人たちは日常を取り戻し亡くなった人たちの分まで笑って過ごしてほしい。今、危ないところで懸命に闘っている人たちは、家族のもとに無事戻ってほしい。安全な地にいる人たちは、今生きようとしている人たちを支えてほしい。
 それが、この仕打ちに対する復讐であり、反逆だと思う。そして希望なのだとも思う。
 一人ひとり、ちっぽけでも、多くの人がそれは、あの地震の力をも超える大きな力になるように。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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