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薔薇の季節 (作:きむろみ) <希望の超短編>

 母さん、覚えてる?

 母の日に貯めたお小遣いで、あなたに贈ったのは赤い生花のカーネーションではなく、プラスチックで出来た造花の薔薇だったってこと。
 あなたは子どもからのプレゼントに一瞬喜び、そしてあからさまに落胆したね。「なんで造花なの?」って。

 生花のカーネーションはとても高価だった。持っていたお金では一本しか買えなかった。
 母さんはいつも「もったいない、もったいない」を口癖にしてたよね。
 私はあの時、生花を買って帰ると叱られると思ったんだ。「なぜ、枯れてしまうような花にお金を出すんだ」と。
 枯れない花、いつまでも母さんが「きれいだね」って言ってくれる花が欲しかった。いつまでもずっとありがとうと伝えたかった。

――薔薇の本に出会った。
 匂いたつような美しさを、そのまま盗み取り、綴じ込めたような頁に触れてふと哀しくなる。艶やかで無機質な紙の肌触り。

 母さん、ごめん。なんだかごめんといいたくなった。
 今年は生花を贈るよ。

(おわり)


2008年作者サイトに掲載。著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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