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お母さんはコスプレイヤー (作:まあぷる) <希望の超短編>

 あたしね、こないだ、お母さんの秘密を見つけちゃったんだ。本棚の本を出そうとしたら、お母さんの日記が落ちてきて、そこに写真が挟んであったの。
 それは若い頃の写真。お母さんはアニメみたいな服を着てにっこり笑ってポーズを取っていた。
 あたしびっくりしちゃって。だって、今のお母さんはアニメ観ないのに、若い頃はコスプレしてたんだなって思って。
 で、あたし聞いてみた。
「ねえ、お母さんって昔、コスプレイヤーだったの?」
 そうしたら、野菜炒めを作ってるお母さんの手がぴたりと止まった。
「なんで判ったの?」
「だって、ほら」
 そう言って写真を見せた。
「あらあら。懐かしいわねえ」
 お母さんはその写真を持ってじっと見つめてた。
「美奈。お父さんはね、私がこの格好をするのが大好きだったのよ」
「え~! じゃ、お父さんってオタクだったの。っていうかへんた」
「言わせないわよ、変態なんて」
「言ってるじゃん」
 お父さんはあたしが小さい頃から、遠い国へ出張していて、たまに手紙がくるくらいだ。ああ、そう言えば。
「お母さん、お父さんの写真見せてよ」
「いいわよ」
 写真の中で、お父さんはやっぱり変なコスプレをしてにっこり笑っている。もう一枚のはコスプレ夫婦のツーショットだ。いつも部屋に飾ってある、まともな服を着たお父さんが別人に見える。
「何かこれ、笑っちゃうね」
 そしたら、お母さんちょっと黙ってたんだけどね。
「美奈はもう知っといたほうがいいかな。これはね。お父さんが住んでる国の服なのよ。コスプレじゃないの。私は、仕事でこの国に行ってお父さんと出会ったのよ。お父さんは向こうでもう少し人々に希望を与える修行をつまないとこちらの国に来れないの」
 あたし、本当にびっくりしたの。あんな服装をしてる国はアニメの中だけだって思ってたから。そうしたら、急に電話が鳴ったの。お母さんは台所のバナナを手に取ると耳に当てたのよ。
「え? 本当に! おめでとう!」
 電話を切ったお母さんはすっごく嬉しそうだった。
「美奈、お父さんの修行が終わったって! 来週こっちに来るって!」
 あたしとお母さんは抱き合って喜んだの。お母さんの派手な金色のツインテールとひらひらの水色ドレスがひらひら揺れた。あたしはあんまり嬉しくって思わず空に浮いてしまったの。
 机の上でビジネススーツとかいうコスプレ衣装を着たお父さんの写真が、あたし達を見つめてた。何だかとっても照れ臭そうだったよ。

(おわり)


作者コメント:著作権は作者にあったりします。
管理人コメント:著作権はご自分でちゃんと保有お願いしますヨ。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望のツインテール。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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