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clover(クローバー) 作:こはくらもとみ ♪希望のポケット童話

 道ばたの草むらで、じいっと何かを探している男の子がいます。
「何か落としたの?」
 声をかけたのも、男の子。でも、少しお兄さんです。
「ううん。四つ葉のクローバー」
 それを聞いて、お兄さんが言います。
「ここじゃ見付からないよ」
「……どうして?」
 首をかしげて問いかけた男の子に、お兄さんは笑って答えます。
「ぼくも探したことがあるから」
「じゃあ、どこにあるのか知ってる?」
 うなずいて歩きだすお兄さんを、男の子は追いかけます。
 やって来たのは、高い工場の建物や塀でお日様の光があまり届かない、薄暗い空き地でした。
「こんなところに『幸せの四つ葉のクローバー』があるの?」
 お兄さんは座って、草むらを見つめます。
「クローバーは、普通は三つ葉なんだよ。それが四つになるわけは、色々言われてるみたいだけど……」
 草むらの上で、お兄さんの手が止まりました。
「植物が生きるには、太陽の光が必要だ。こういう日の当たらないところでは、葉っぱの数を増やして、少しでもたくさんの光を浴びようとするんだ……っていうのが一つあるみたい」
 お兄さんの指差す先には、男の子が探していた四つ葉のクローバーがありました。落ち込んでいるお友達を元気にしたくて、プレゼントしたくて探していたはずのクローバーです。
 でも、男の子には摘んでしまうなんて出来ませんでした。
 日なたに根を張れず、それでもいっしょうけんめい生きているクローバーは、折られて命を終えた後も、持ち主に幸せを運ぼうとするのか……
 そう思ったら、出しかけた手も止まってしまうのです。
 男の子は、くるりと向きを変え、走りだします。
「いいの?欲しかったんじゃないの?」
 お兄さんにきかれて、振り返って答えます。
「いいんだ。……ありがとう!」
 お友達を元気づける方法は、他にもありました。
 男の子は、何から言おうか考えながら、お友達の家に走ります。
『いっしょにあそぼう』『そんな顔するなよ。ぼくも悲しくなっちゃうよ』
 お友達の家は、もうすぐです。
『ここには持ってこられないプレゼントがあるんだ。いいから来て!』
 お友達を連れて、さっきの空き地へ行こう。がんばっている四つ葉のクローバーを見てもらおう。
 男の子は一番の笑顔で、お友達の家の前に立ちました。

(おわり)


著作権は作者にあります。

未来に夢と希望を、そして灯火を。ポケットの中の童話。
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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