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ゆけむり (作:chabapenn) <希望の超短編>

 放射線量を表す単位が「ゆけむり」に統一されてからどれくらいになるだろう。
 もともと使われていた単位がどのくらいの危険度かわかりにくい、というのがそもそもの理由だった。そこで、有馬温泉に含有されている放射線量を基準とした単位が、新たにつくられたのだった。
 これには反発が起こった。多くは、温泉業界からだ。
「どうして有馬なんだ」「これ以上、あそこを有名にしてどうする」「そうだどうせなら熱海を」「いやむしろうちを基準に」「城崎も忘れてもらっては困る」
 そこで再び討議が行われ、日本中すべての温泉から計測された放射線量の平均を基準とした「ゆけむり」が設定されたのだった。
 効果は大きかった。1ゆけむりは、温泉に一時間つかっていた際に浴びる放射線量と同じ、というのがわかりやすかった。例えばホウレンソウから検出されたのが3.5ゆけむりだったとしても、三時間半温泉に入った程度だと想像がつけば、恐怖感は薄れる。むしろ温泉3.5時間分の効能があると曲解され、ホウレンソウがバカ売れするという事態まで持ち上がった。
 そして今、この単位が別の現象をも表していることは、一部でだけ知られている。
「この温泉は……2.7ゆけむり!」
「この量なら……」
「覗ける……っ!」
 ゆけむりカウンターを手に、タオル一枚を腰に巻いただけの男たちが、互いに頷きあう。
 その単位は、名称どおりに「湯煙の量」をも表せていたのであった。

(おわり)


著作権は作者にあります。
作者コメント:当作品はbutapennさんがツイッターから得たネタから発想したアイデアをもとに、茶林小一が執筆したものです。
管理人コメント:ガイガーカウンターを持っての入浴は禁止です。

疲れた心に浴衣と卓球を。みんなで覗け、希望の超温泉。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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