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僕のロボット (作:モギイ) <希望の超短編>

お母さんが突然出て行ったので、お父さんは仕事を休まなきゃならなくなった。困ったお父さんは、ある日、若いお兄さんを連れてきた。

「正彦、喜べ。ロボットを買ってやったぞ。お父さんが仕事の間、面倒を見てもらえ」

僕はお兄さんを見た。コンビニの前に座り込んでいそうな怖い目つきのお兄さんだった。ロボットは欲しいけどこんなのは嫌だ。それにどう見てもロボットには見えない。

「この人、ほんとにロボット?」

「安かったんだ。じゃ、よろしく頼むな」

ロボットは「うぃーす」と気のない返事をし、お父さんはさっさと仕事に行ってしまった。

「ちっ、つまんねぇ」

ロボットはぶつぶつ言いながらテレビをつけて床に寝転ぶ。

「ビールねぇか?」

「ないよ。ねえ、遊ばない?」

ロボットが目を剥いたので僕は諦めて一人で外に行った。でも転んで膝をすりむいてすぐに戻ってきた。

「怪我したよ」

「あー?」

「僕を守ってくれるんじゃないの?」

「ガキは痛い目に遭わなきゃ学ばねぇってどこかのババアがなぁ……」

ロボットは面倒くさそうに僕の膝頭にヨードチンキを塗りつけた。終わるとまた寝転んでテレビに見入る。時々、くっだらねー、とか、まじかよー、なんて言っている。綺麗な女の人が映ると、ひょー、って言う。誰がこんなロボットを作ったんだろう?

おやつはもらえそうにない。仕方ないので台所に行って冷蔵庫を開けたら家がぐらぐらと揺れだした。僕に向かって冷蔵庫が滑り出す。

うわあ、つぶされる!

でも僕はつぶれなかった。ロボットが間一髪で僕を突き飛ばしてくれたんだ。

「ありがとう」

僕は立ち上がるとお礼を言った。ロボットは少し赤くなったが、いってえなあ、ちっきしょう、なんてもごもご言いながら慌てて台所から出て行った。

「ガキは痛い目に遭わないと学ばないんだろ?」

「バーカ、死んだら学べねぇってなぁ、ババァがなぁ……」

「おでこ、血が出てる」

「あぁ?」

ロボットは洗面所へ行って、自分でヨードチンキを塗った。

「デートだってのにみっともねぇな」

「デート?」

「しゃべんなよなぁ」

またもごもご言うと、地震で散らかった床にごろりと寝転ぶ。片付ける気はないらしい。

すぐにお父さんから電話があったので僕は無事だと言った。それからわざと大きな声で、ロボットを買ってくれてありがとうと言った。さっきはね、危ないところを助けてくれたんだよ。命の恩人なんだ。

「うっせぇよ」

後ろで小さくロボットがつぶやいた。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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