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大根の味噌汁 (作:本田モカ) <希望の超短編>

我が家の朝食は決まって和食。
白いご飯に大根の味噌汁で朝は始まる。
「洋食が食べたい」とか「たまにはパンにしようよ」と私が何度となく母に言ってもけして変えてはくれなかった。
ブッブッと文句を言っている私を見て、同居している祖母がそっとその理由を教えてくれた。

私がまだ母のお腹にいる頃の話だ。
ある朝、父は寝坊をして会社に遅れそうになった。
急いで車を走らせていたら、スピードを出しすぎて堤防道路のカーブを曲がり切れず逸脱し、そのまま堤防下の畑に車は転落した。
意識を取り戻した父が最初に見たものは、横転した車の全開にしていた窓から飛び出ていた大根だったらしい。
その後、父が入院している時に
「顔の真横に大根があったから、本当にびっくりしたよ」
と笑いながら母に話すと
「もう少しで私は未亡人になるところだったのよ」
大きいお腹を抱きしめるようにしながら大泣きしたそうだ。

大根の味噌汁は、あの時のことをけして忘れないで、安全運転を心がけてという母からの密かなるメッセージだった。

そして今日も母の戒めと愛情を飲み干し、父は仕事に出かけて行った。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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