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花冷え (作:海音寺ジョー) <希望の超短編>

そんなところにいないで、ウチに入りなよ。孤高を気取っていないで、輪の中に溶け込みなよ。
あまのじゃくなだけで、孤高を気取ってるわけじゃないよ。ただ、ぼくはここにぬぼう、と立ってたいの。深い理由があるわけじゃなく。
風邪をひくよ。オレは心配して言ってるんだよ。ぼくという男のような言葉遣いもどうかと思うよ。
そういう干渉は、するだけ損よ。これまでもお節介で嫌われてきたんじゃないの?
確実に嫌われてきたよ。でも好きな子にはちょっかいを出すものだよ。
余計に嫌われるだけ、損よ。単なるデメリットよ。いや、ぼくは罵倒したいわけではないんだ。ただ、ぼくはここでぼうっとしたいんだ。この寒さに震えたかったの。タケル君、あなたには理解できないかな。
そういう気分になることはあるよ。でもオレはやはり君をこちらに、壁の内側にひきこみたいんだ。
ぼくが君の目につくところにいてるのがいけないんだ。もう帰るよ。失礼なこと言って御免ね。夜桜なんてことばにぼくが勝手な解釈を持ちこんだのが悪かったの。花見だよね。普通にとらえたら。ぼくは単に黒色の空のスクリインに桜色の点描が優しく拮抗していく、とろけそうな絵が見たかっただけで。
帰るんだったら、呼んだオレの立つ瀬が無い。おい、みんな、出ようぜ。やはり花見は桜の木の下でやろうぜ。
こんなに寒いのにかよ?よし、行こう。
おう!
アホばっかりだぜ。
くそアホゥばっかりよ。
風邪をひくぞ。
間違いないぜ!おいヒロコ、逃げんなよ。
うるせえ、ついてくるな。
そういわれるとおっかけざるをえんぜ。
よし走ろう。
花びらが散る。男4人と女3人が駆ける。月が晧晧と照り、薄く雲がたなびく、青い、いやもっと濃紺の春の夜。
この世に愛なんてないのに。
この世に愛なんてないのに。
ヒロコのことをタケルは好きらしい。
しかしそんなことは今、この透き通るように寒い夜には、あまりたいしたことではない。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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