スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

マンホールの上で (作:こけし) <希望の超短編>

僕の上で彼らは出会った。
僕はぴーんときたんだ。
彼らは出会った瞬間に恋に落ちたんだ、って。
一人はピカピカに磨き上げられた黒い革靴でもう一人は淡いピンク色のピンヒールで僕を踏んでいた。
そして踏んでお互いを見た瞬間、お互い目を見合わせたんだ。
これはもう恋の始まりだろう。
きっと相手の目を顔を見ただけで恋に落ちちゃったに違いない。
そして二人とも次は恥ずかしそうに顔を染めて下を向いた。
これはもう間違いない。
出会った瞬間に恋に落ちちゃった自分自身に恥ずかしさと、そして相手の顔を直視できないほどってことさ。
そして二人は何分か後、やっと口を開いた。
同時にね。
するとお互い「そちらからどうぞ」「いえ、そちらから」って譲り始めたんだ。
ああ、なんてじれったい。
さっさと自分の思いの丈を相手に伝えればいいのに。
するとピンヒールの方が意を決したかのように革靴の方の顔を見て口を開いた。
あ、ついに言うか。

「あの、失礼ですけど、ズボンのチャック、開いてますよ」

革靴の方は慌ててチャックを閉めると今度はやっと落ち着いてピンヒールの方を向いていった。

「失礼ですけど、ストッキング、後ろ側、伝線してますよ」

ピンヒールの方は慌ててストッキングの後ろのほうを押さえて前かがみになった。
そしてお互い気まずそうな顔をして、気まずそうな空気を僕の上に残して反対方向へ別々に去っていった。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
スポンサーサイト

テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリー
ブログ内検索・作者検索
プロフィール

sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

後輩書記シリーズ公式サイト

ビジター数
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。