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いつものように (作:はやみかつとし) <希望の超短編>

 黒山の人だかりのその黒々とした峰の連なりのなかに一か所、空き地のような隙間が見える。
 この混雑のなか詰めてくれないものか…と思いかけて、はっと気づく。すぐ隣の大人がその空き地に視線を落とし、時々頷いてはふっと頬を緩めたりしている。香気のように立ち昇るかすかな声音が耳をくすぐる。
 ちっちゃな子どもがそこにいるのだ。
 他愛もないおしゃべりは、無邪気ゆえに透明な音楽だ。他の背の高い頭たちは無関心を装いながら、心地よい反響を生み出す角度を成して空き地を取 り囲んでいる。そこから、ラッパの朝顔のように、きらきらした空気が振り撒かれる。黒山は身じろぎ一つせず、穏やかに全身でそれを浴びつづける。
 今日がひしめき合う只中に、明日がひっそりと花開いている。

 日々がこんなふうだとは思いもしなかったし、事実こんなふうではなかった。それでもなお、これからの日々はきっとこんな日々なのだ。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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