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ごはんがたべられない (作:まつじ) <希望の超短編>

 他に何もないので白米を茶碗によそって食べていたら、米が一粒飛び出した。
 私が飛ばしたというのではなく、勝手に飛び出して自分で茶碗の縁に立った。立ったと言うからには二本足であるのか米が米なのにと問われればまったくその通りで、よく見なければわからないほど短くて糸のように細い足で思いのほかしっかりと立っているのだ。
 何やら言っているようだが、いかんせん声が小さく、聞こえそうで聞こえない。
 ああ、ぴょこぴょこ跳ねて何か言っている。
「こらー、お前、この、おそろしい、ひどいやつめ、こらー。」
 顔を近付けると、彼は必死で抗議をしていた。叫んでいるようなのだけれど、どうしてもそう聞こえない。
「このー、よくも、食べたな、こらー、返せー、仲間を、返せー。」
 聞くと、真面目も真面目の大真面目で怒っているようなのに、どうにも愉快だ。
 シャリが怒っている。シャリ君、憤怒。
 などと思っていたら
「こらー、ばかにすんなー、この、ひどいやつめ、このー、悪党、しかし、残った仲間だけでも、とう、オレが、まもるッ。」
 言うや否やまた茶碗の飯に飛び込んだ。
「まもるッ。」
 美味そうな白米のどこからか彼の声が小さく聞こえる。
 まいったな。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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