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アタランテ (作:ページのP) <希望の超短編>

「名前くらい聞けばよかった。」

 去っていく彼女の背中を見つめて、一人で呟いた。
 俺って情けない奴。

 公園のランニングコースで会った彼女のこと、アタランテって呼んでたんだ。
 ギリシャ神話に出てくるアタランテはすごく足が速くて、自分に勝った人と結婚するって言って男と競争したけど誰も追いつけなかった。でも神様なんかじゃなくてちゃんと人間なんだ。

 二つ上だって言ってたけど、俺だって結構速いんだぜ。一年なのに、今度の大会で選手に選ばれてたんだ。引越しするんで出られなくちゃったけど。本気で走って女子に負けるなんて思わなかった。

 本当は俺、今日は絶対に彼女に勝つつもりだったんだ。それで、名前とメルアド教えてもらおうと思ったんだ。せめてメル友になってくれって言うつもりだったんだ。

 くりっとした目、ぴょんぴょん跳ねる髪の毛。すごく綺麗な走り方。あんな女子がいるなんて知らなかった。もう二度と会えないかもしれないって思ったから、絶対に勝とうと思ったのに。まさか負けるなんて。

「……まあいっか。」

 アタランテの話を読んだとき、黄金の林檎なんかにひっかかってアタランテが競争に負けてしまったのがすごくくやしかった。本当はアタランテの方が絶対速かったのにってずっと思ってた。

 やっぱりアタランテは速いや。俺と今度また競争するまで、誰にも負けないで。黄金の林檎なんか拾わないで。次は絶対勝つからさ。

(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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