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ふりーな宇宙人 (作:モギイ) <希望の超短編>

2月22日、僕の住む街を二度目の地震が襲った。働いていた自動車整備工場は半年は再開できないという。そして追い討ちをかけるように起こった日本の大地震。それを理由に彼女は日本へ帰った。関係は冷めきってたからもう戻っては来ないだろう。僕も家にメールを送った。大変だろうから一度戻るよ。

何をする気も起きない。家の中は散らかりっぱなしだ。唯一洗濯はするのだがたたむ気力がないので床の上に山になっている。

とんとんとん

誰かがドアを叩いた。

ドアを開けるとそこには女の子が立っていた。高校生……大学生ぐらいか? 空色の瞳に空色の髪の毛、丈の短いワンピース。これはあれだ。日本のアニメにはまってるコスプレーヤーって奴に違いない。

彼女は片言の日本語で挨拶をした。

「コンニチハ。オテツダイニキマシタヨ」

「頼んでないけど」

「ハケンサレテキタノデス」

「どこから派遣されたの?」

「アソコカラ」

空を指差す。

「……君、宇宙人かなにか?」

「エエ、エエ、ソウナンデス」

彼女は嬉しそうに頭をこくこくさせた。

頭がおかしいのか何かになりきっているのか僕には判断がつかない。

「ええと、宇宙人はちょっと……。それにお金もないし」

「シンパイイリマセンヨ。ワタシハふりーデスカラ」

「ふりー?」

「ふりーニハ『ムリョウ』トイウイミト『ヒマナ』トイウイミガアリマス」

知ってるけどさ。

僕には彼女を追い返す気力もなかった。人に会えてちょっと嬉しかったのもある。

宇宙人はてきぱきと僕の部屋を片付け始めた。みるみるうちに家中が彼女がいた頃みたいにきれいになった。

柿の種を頬張りながら宇宙人が言った。

「オチャヲイレマスネ」

「お願いします」

パソコンを立ち上げると親父からメールが来ていた。親戚が避難してきてるので帰国しても僕を滞在させる余裕はないという。

涙がこぼれた。

その時分かったんだ。家族が心配なんじゃない。僕が帰りたかっただけなんだ。何が起こるかわかったもんじゃない。お袋と親父と妹と、このまま会えなくなったらどうしたらいい?

急に後ろから抱きしめられた。

「ダイジョウブデス」

宇宙人が歌うように言う。

「本当に?」

「ワカリマセン。デモ、ダイジョウブナンデスヨ。ホントウニ、ホントウデス」

……どっちだよ?

でも本当に本当に何もかも大丈夫な気がしてきた。

「あの、もう少し、ここにいてくれる?」

「イイデスヨ」

宇宙人はにっこり笑った。

「ワタシハズットズットふりーデスカラ」


(おわり)


著作権は作者にあります。

疲れた心に安らぎと光明を。みんなに届け、希望の超短編。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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