「化石村」

老朽化した黒い銀河がゆさゆさと傾きはじめ、熱波は寒波に、寒波は熱波に、いきものは弱いものから順に裏返っていく。結合が解け、塵化した弱きこいびとの、かれらの変わり果てた石を、ひとびとは片時も忘れじと誓い、メイオウ星に送りつづける。それまで平坦だった虚ろな星に、やがて風の路ができ、溜まり場ができ、少しずつ少しずつ堆積されて、ひと肌の燃料となっていく。矮小な星のたみは、暗いほらの棲み家から這い出して、手先が器用であるがゆえ、この燃料で生者たちへの便りを星空に飛ばしつづける。宛て先はどこでもない。帰り路、ぶきっちょの石打ちモルヘンは、方向音痴のジャノメシソチョウの奥歯をうっかり踏みつぶす。モルヘンの足跡はそこから白くなる。一方、砕けた欠片は粉雪のように舞いあがり、紅くかすむ第七銀河の辺境に流れ着く。そこにまた見たこともない集落と、風の路がごんごうごうと鳴っているのだ。ジャノメシソチョウはふたたび乾いた風を得て、とんとんとつと奥歯を鳴らす。こんこん、こっつぅ。とんとん、とっさぁ。
<了>
『500文字の心臓』第61回タイトル競作未投稿作品。
投稿作品のほうはいまいちだったので、アナザーバージョンを。
もしかしたら、こっちのほうが良かったかもしれない(苦笑)。
感想お待ちしてます~。
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