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雲の来歴 (作:三里アキラ) ♪希望のポケット童話

 綿菓子はお口に入るとすぅっと溶けてなくなります。
 お祭りの夜の、綿菓子屋のおじさんがくるくるもわもわと割り箸にからませた甘い甘い飴の雲なのです。
 さて、空に浮かぶ雲はどうでしょうか。
 じつはじつは、これも同じなんですよ。綿菓子が飴の雲なら、雲は雨の綿菓子なんです。
 綿菓子と雲、どちらが先かと問われたら、それはもちろん雲で、綿菓子は精霊が雲を作るのをまねたお菓子なのです。
 大地に降った雨は太陽の光で暖められてとろけます。とろけた雨は軽くなり、空へ向かうのです。精霊たちはイナズマを手にくるくるもわもわと雨をかきあつめ、ふわふわもこもこの雲が出来上がるのです。
 では、その雨の綿菓子である雲は、最後にどうなるのでしょうか。
 空の神様が口にふくみ、すぅっと溶けてなくなります。
 空の神様は雨を降らせることはできても、雨の綿菓子は作れないので、精霊たちをとても大事にして、そして愛しています。

(おわり)


著作権は作者にあります。

未来に夢と希望を、そして灯火を。ポケットの中の童話。
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テーマ : 児童文学・童話・絵本
ジャンル : 小説・文学

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青砥 十

Author:青砥 十
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、奈良県在住。どうぞよろしくお願いします。

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