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「プラスティックロマンス」

 万緑が生い茂る山間をくぐり抜け、ぼくたちの旅はすいすいと駆けめぐる。少しひなびた車窓から草木をなでた風がさわさわ流れこむ。祖母はひざの上に太陽のかけらみたいに鮮やかなミカンを置いて、ぼくたちにほっこりとした笑顔を向ける。けれど、ぼくたちはミカンに手を伸ばさない。なぜならぼくらはまだ駅を出たばかりだからだ。
 峠の茶屋では娘が忙しそうにはたらき、そのふもとの門前町でそば屋が客を呼んでいる。木造の立派な駅舎の前を通り過ぎ、どんちゃん騒ぎの屋形船を谷川の底に見おろして、山肌に異人が建てた白ぬりの教会を見つけ、まだまだ走る。汽車は煙をずっと吐かない。そして、二周目に入る。ぼくたちは脱ぎ散らかした靴もそのままに、車窓にしがみつき、やっぱりミカンに手を伸ばさない。なぜならぼくらは永遠の旅行者だからだ。

(了)
久しぶりの更新です。もっと書けよ、と自分に叱咤激励しつつ(^-^;)。

というわけで、『500文字の心臓』タイトル競作の投稿作です。
結果、○×6票をいただき、正選王をいただきました。
前回「☆」では不戦敗だったので(爆)、今回はいただけて良かったです。

いわゆるプラレールを題材にしてますが、実は我が家にはありませんでした。
まぁ、あんまり鉄道とか乗り物全般に興味がなかったというか(^-^;)。
それはともかくとして、牧歌的な放浪記と、合成樹脂のオモチャのミスマッチを狙ってみました。気に入っていただけたら嬉しいです。

よかったら感想くださいね(^-^)。
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私もプラレールを持っていませんでした。けれど友人の家で良く遊ばせてもらっていました。
……そんなことを思い出しました。
プラレールって何故か旅情を誘うものがありますよね。ふむふむ(ひとり納得)。
感想になっていなくて、申し訳ありません。

いい旅夢気分

仕事がときどき旅のような、ビバ北の大地、sleepdogです(^-^)。

>那崎さん
プラレールはちょっと欲しかったんですけどね……。兄貴は車の模型ばっかりで、電車には興味がなかったようです。でも、博物館とかでミニチュア模型を見るとじっくり細部まで眺めてしまう人です。

あ、そう言えば、京都に店内をプラレールが走ってる(走ってる!)食堂がありましたよ。あれはある意味ロマンチックだったなぁ(←んなわけない)。
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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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