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「黒い羊」(未投稿作)

 高校一年の夏、私は家族と高原に来ていた。ペンションのテラスで夜風に包まれながら、リクライニングシートから数多の星を仰ぎ見る。
「おいでよ」声をかけると、義理の妹が恐る恐るついてきた。可愛い顔なのに男の子みたいに野暮な服。義妹はまだ小三で、新しい父の連れ子だった。
「ねぇ、あたしのこと、恐い?」
 義妹はシートに腰かけ俯いたまま首を振る。私の言葉遣いはきついのだろうか。初めて会った時からずっとこの調子だった。まだ日が浅いせいもあるが、元から無口なのか、私の前で萎縮しているのか、それすらもよく分からない。
 しばらく星を見ていると、近くの煙突から黒い煙が出てきた。香ばしい肉の臭いが漂う。義父は菜食主義で、同居によって食生活もずいぶん変わってしまった。性格は優しくて不満はないけれど、煙の臭いが少し複雑な気持ちを呼び起こす。
 暗い煙はやがて固まり、天まで昇り、パッと弾けた。その八方に散る勢いでまわりの星はみんな流れて、夜空にぼんやり空洞が残った。

 旅行の後、私は長かった髪をばっさりと切った。家に帰ると義妹は驚いた顔で、私の目をじっと覗きこみ、頬を少し赤らめながら、自分も同じところで切りたいと言った。
 美容室に行くのはどうやら初めてらしい。私はすぐに予約を入れ、鼻歌まじりで、義妹に似合う服を探しはじめた。


* * * * *

「500文字の心臓」用に書いたものの、文字数オーバーなこともあり、投稿しなかった作品です。
以前、女性っぽい作品を書きますね、と言われたのですが、なんかこんなテイストは意識せずにふと書いてしまいます。お気に召すかしら♪

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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