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「海のなかの銀河」

 重苦しい海の底に転がって、わたしは魚の群が織りなす何億千という冷たいダイヤモンドの大河に圧倒される。海は深いところほど見通しが悪いと思っていたが、わたしの見た真実は違った。視界の端から端までキラキラと光る帯が太く貫き、その輝きによって古い世界が研磨され、新しい世界となって生まれていく。
 おそらくここは、いつか聞いた先人の跡をなぞるような航路でたどり着いた場所。時には偉大なる科学者が失われた古代文明について空想した。時には恋人たちの心待ちにした船旅が嵐に見舞われ塵と化した。そして、誰のものか、いつのものかも解らない骨片が、ダイヤモンドの帯によって研磨され、ゆらゆらと海の底に舞い落ちて堆積される。
 生物は生まれた場所よりずっと深いところで生を終えると、美しい神秘の景色を見るという。わたしの眼窩の暗がりに届いた雲母のような粒子から、それが生きた世界の記憶が断片的に流れ込んでくる。窓に映る雪のようにただ白く、海の底に音はない。きっと何十億年のどこかで生きたであろう記憶が長い時間をかけて少しずつ、ゆっくりと降り積もっていく。



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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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