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「あおぞらにんぎょ」

 昔からこの幼稚園につとめる天野久仁美先生は、とても声がきれいな人である。天気の好い日はよく外でお手製の絵本の読み聞かせをする。園児はいつも熱心に聞き入っていた。
「桃太郎は鬼ヶ島に着きました。途中、船乗り場で美しい人魚と出会い、きびだんごと人魚の肉だんごを交換し、不死の体を手に入れて、バッタバッタと鬼を倒していきました」
 あるときはこんな話だった。
「浦島太郎は海辺で助けたカメと美しい人魚からお礼をしたいと言われました。人魚に指先の肉を少し与えられ、不死の体になった浦島太郎は、カメの背中に乗って窒息せずに海の底まで潜っていきました」
 また、こんな話もあった。
「魔女の毒りんごで永遠の眠りについた白雪姫のもとに、白馬に乗った王子様が現れました。白馬には美しい人魚も一緒に座っています。王子様は人魚の首筋の肉を少し噛み取ると、白雪姫に口移しで与えました。すると、なんと眠りから覚めたのです」
 よく晴れた動物園見学の帰りにはこんな話もしていた。
「サルにやられたカニは仲間たちによって家に運ばれました。美しい人魚の女中はすぐにわきの肉を少し切り取り――」
 久仁美先生は、美しさのまったく衰えない人である。

(おわり)

 
「500文字の心臓」タイトル競作の投稿作品。
○6、×2。瀬川さんと同点で『正選王』になりました。ありがとうございます。
実は、正選と逆選の両方を狙って、タイトルと合ってるような、合ってないような作品にチャレンジしました。×もうひとつあれば念願が叶ったのになぁ。こんなチャンス、二度とないと思います(笑)

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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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