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『Long Distance Call No.2』(featuring “くじらなわ”) 作:穂坂コウジ <希望の超短編>

「ねえ、そこから月は見える?」
 そう彼女は云った。何だろうとおもって、立ち上がり、部屋の窓をあけた。夜気が入りこんでくる。携帯を耳にあてたまま顔を外に出すと、すこし雲がかった橙色の下弦の月がうっすら光っていた。
「月はひとつだから、おんなじものを見ることができるでしょう。遠くても」
 ああ、なるほどなとおもった。
「身体は平気?」
「そっちこそ」
 身をのりだし、じっと月を眺めながら話す。こんなにまじまじと月を見たのはずいぶんひさしぶりな気がする。
「月を」彼女が云う。「引っぱれたら」
「何?」
「ちょっとは縮むのかな」
 一度部屋にもどり、煙草に火を点けてからまた窓にのりだす。
「そうかもね」
「ぎゅうぎゅうって」
「ぎりぎりとね」
「ねじねじと」
「30年も?」
「そんなには待てない」
「うん」
 明日の月は、今日よりもすこし細い。

(おわり)


2008/10/20 作者サイトに掲載。
著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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