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『Tumblin' Dice』作:穂坂コウジ <希望の超短編>

 子どもが笑っている。サイコロ転がるような声で。その目は1か、それとも6か。一回休みでも、振出にもどるでも、ただ時間だけは過ぎていく。等しく過ぎていく。楽しそうに。

 ぼくもサイコロ振ってみる。頭のなかにいくつかある。ぶつかり合うとキィンと鳴って、目の前がすこし白くなる。クジラのひれの波打つところが、そこに映る。するとサイコロの一つが、舌先まで転がり出てくる。けれどまだまだ、しびれてくるまで舌先で回す。聴こえるだろう、子どもの声と、◎印のロックンロールが。

 出た目の数だけ、何にもしないで、でたらめな話をでっちあげれば、やれやれと誰かが呆れながら、笑っている。
 あがりはないから、何度でも振出にもどればいいのじゃないか。

 ただ時間だけは過ぎていく。そりゃあもう、楽しそうに。刻んだネギとおろし醤油にステーキ突っ込んで、舌先で転がしてる間にも。饒舌に食通ぶって、言葉を転がしてる間にも。パセリも食べた方がいい、あれはあれでいいものだ。煙草も嫌いな方じゃない、あれもあれでいいものだ。

 でも、世界の笑う声が聴こえる時、ぼくはおもうんだ。
 腹をくくって流される涙が落ちるより先に、腹をくくって差し出された手は、震えているけれど、こぼれる前に、受け止めるんだと。
 ほんのすこし、寿命を削る、覚悟はあるか。みんな。

(おわり)


2008/06/28 作者サイトに掲載。
著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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