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花をつなげる(作:たなかなつみ)<希望の超短編>

 ちょっと疲れちゃったの。だから、膝を抱えてうずくまってみる。辛くて哀しくてどうしようもないの。こんなときは泣いてもいいかな。愚痴を言ってもいいかな。
 みんなで肩を寄せ合って。辛かったね、辛いね。
 空からつぼみが落ちてくる。ねえ、あれ、と肩を叩かれ、ぼんやり空を眺めると、ぽん、ぽん、ぱんと花を開く。たくさんのたくさんの小さな花が降ってくる。
 膝の上にたまった花を拾い上げると、その花芯から、小さな手がにゅっと生えだした。たくさんの花のなかから、たくさんの小さくて透明な手が、さらに花開く。細い手や、ごつごつした手、ふくよかな手。試しにきゅっと握ってみると、ぎゅうっと握り返された。あたたかくて、力強い、手。
 小さな手をいっぱい膝に抱えたまま、みんなで空を見上げる。たくさんのたくさんの透明な手が、天からこちらに向かってのばされているのが見える。
 大丈夫。つながってるから。つながろうとしているから。
 膝にたまった花はそのあたたかさで毛布になり、きらきらと光って灯りになった。花弁は甘やかな味で空腹を癒す。
 空の手たちが大きな大きな大きな花を、たくさんたくさんリレーしようとしているのが見える。そして、あちらこちらに降らそうとしている。
 空はずっとずっと遠くの人たちにまでいっぱい、つながっている。

(おわり)


2011/03/14 作者サイトに掲載。
著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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