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相合傘 (作:30-06) <希望の超短編>

 雨が降ってきた。
 自販機でタバコを買った俺は、鉛色の空を睨む。
「うっとおしいな、クソ…」
 などと毒づいて、傘を広げた。
 その時、タバコ屋からばーさんが出てきた。
 俺とばーさんの目が合う。
 俺は素知らぬ顔で、歩道に踏み出した。
 ばーさんは軽くびっこを引いていた。
 傘も持たずに小雨の中を、えっちらおっちら。
 おいおい、ばーさん。風邪ひくぜ。
 俺は咄嗟に傘を差し掛けちまった。
 腰の曲がったばーさんは、『あれっ?』ってな表情で俺を見上げる。
「おばちゃん、濡れるよ」
「あら、ごめんねー。いいんだよ、あたしゃ近くだから」
「いいよ。おばちゃん家、どこ?」
「ありがとうね。声をかけてくれて、本当にありがとうね」
 そんなに感謝されると、かえって困る。いや、照れる。
「あんたどこの人かい?」
「ああ、三丁目」
「どーりで見かけないと思ったよ。ありがとね」
 見知らぬばーさんと相合傘。
 たまにはオツなもんだぜ。

(おわり)


著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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