スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

パレード (作:タキガワ) <希望の超短編>

 二の腕の内側にできた、ちいさな吹出物がいつの間にかぼんやりとあかく拡がっていたのである。
 まるでいちまいの花びらのようだな、と感心しながら軟膏を塗るが、日毎に斑点は乱れ散り、裸の胸を覆う。日焼けのないやわらかな皮膚に浮かぶ色合いは、沁みるほどに美しい。
 襟元をはだけては、近しいひとに自慢していたのだが、そのうちに花の痕は私の肌を超えて溢れだし、はらはらとこぼれ落ちはじめた。
 道行く私の袖口から花吹雪。振り返れば薔薇色のじゅうたんが足どりを辿って続いている。その端をいそいそと踏んでついてくる男と目が合った。彼は決まり悪そうに首をすくめた。
 もし、よろしければ。
 私が勧めると、男は顔をほころばせ、おういと叫んだ。
 すると、通りすがりの人々があらあらどうもと連なってくる。
 人見知りの子供も、無表情な老夫婦も、挫折した青年も、家のない猫も。
 日暮れの光線でひときわ紅くかがやく吹出物のシャワーを浴び、いつの間にか高らかな歌声を響かせながら、私たちは行く。

(おわり)


作者コメント:未発表作品です。
著作権は作者にあります。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

カテゴリー
ブログ内検索・作者検索
プロフィール

sleepdog

Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

後輩書記シリーズ公式サイト

ビジター数
最近の記事
最近のコメント
最近のトラックバック
月別アーカイブ
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。