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スノーマンは眠らない[Angus Norman](作:卯月音由杞)<希望の超短編>

 終らぬ冬の寒さよ、吹雪よ。俺の肌を締め付けるがいい。眠るわけにはいかないのだから。地平線まで続くこの雪原をやってくるのが敵軍の戦車ならば、俺たちは銃を向けねばならないのだから。
 命令はただひとつ「離れるな」と。そして「通してはならない」と。祖国と家族とを守るために要衝を任された俺たち七人は務めを果たし、今も、果たし続けている。
 あの瞬間、揺らいだ大地とまばゆい光は、終戦の合図か。世界の終わりか。
 だが俺たちは任を解かれることなく、いまだこうして守り続ける。
 いつしか俺の体を雪が覆い、指を凍らせ、心臓も止めてしまったが、両の目は見開かれたままだし、両の足は地に縛り付けたままだ。
 感謝祭は過ぎただろうか、クリスマスはまだだろうか……太陽の行き過ぎを数えることも忘れてしまった。
 エルザ、マシュー、ドリス。プレゼントもターキーもケーキも、キスも、帰るまで待っていてくれ。
 お前たちの安らかな眠りのためにこそ、俺は眠らずにいるのだ。お前たちの勝利の涙が雪を溶かしたのならば、俺は帰ることを許されるのだ。ノーマン家のクリスマスはそれからだ。
 いつもどおり迎えてくれ、パパ、と。
 キスしながら呼んでくれ、アンガス、と。

(おわり)


著作権は作者にあります。
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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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