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全ラ (作:茶林小一) <希望の超短編>

 どうして泣いているんだい。何か悲しいことがあったのかい。
 涙なんて流れてなくても、悲しいときってのはわかるものだよ。
 心が傷ついて、悔しくて、苦しくて、ときには自分自身が許せなくなって。世界の何もかもが信じられなくなったなら。
 そんなときは歌ってみればいい。立ち上がり、胸を張って、大声で好きな歌を歌ってみればいい。
 歌詞がわからないなら、すべてをラで歌ってみればいい。
 なぜラ、なのかって。それはきっと、そう。その方が、音がきれいに響くからなんだ。
 君は気付いていないかもしれないけど、世界は音で溢れている。
 騒々しい音、耳障りな音。不愉快な音、喧しい音。今の君には、そんな音しか聞こえないけど。その中にもほら、耳を澄ませば。
 別の何かが、聞こえてきたかい。
 それでももしも、君の耳には届かないなら。自分で音をつくればいい。
 君の喉から漏れるその音。君にはどう、聞こえている?
 歌詞なんてわからなくても構わない。そんなときにはラで歌おう。
 立ち上がり、背筋を伸ばして、大きな声で。
 あらん限りの、大きな声で。

(おわり)


2009/09/15 作者サイトに掲載。
著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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