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スクリーンヒーロー (作:茶林小一) <希望の超短編>

 隙間から差し入れられたのは、七インチくらいの小さな液晶画面だった。
 ヘルメットを被った、煤だらけの顔が淡い光の中に映る。がんばってください。もう少しですから。耳障りな轟音の中で微かに、上の方から声が聞こえる。声に合わせて、画面の中の口が動いた。
 熱さで意識が遠くなる。身体中が汗で湿っているのに、口腔内は渇ききっている。水が、水が欲しい。
 騒音は止まない。積み重なった瓦礫を取り除いているのだ。崩れないように。慎重に。大きいのは音ばかりで、背中に架かる重みは先ほどから変化がない。
 画面の中の顔が替わった。さっきまでと同じ、煤だらけだ。けれども、今度はヘルメットを被っていない。
 がんばって、ママ。
 今度は声は聞こえない。どこか安全なところにいるのだろう。でも、口の動きでわかった。何度も繰り返してくれるから、わかった。
 これでもう少しがんばれる。そう思った。

(おわり)


2009/01/27 作者サイト掲載。
著作権は作者にあります。
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テーマ : 超短編小説
ジャンル : 小説・文学

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Author:sleepdog
幻想、冒険、恋愛、青春などをテーマにした短編小説をいろいろ書いています。子供のころから妖怪が大好きで、最近は結構ゆるふわなものが好みです。 生まれは群馬県前橋市。現在、名古屋市在住。どうぞよろしくお願いします。

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